開通3年 つくばエクスプレスまちを創る つくば市 副都心形成進んで人口急増、守谷市 住み良さNo.1で首都圏受皿に (2008/08/05)

首都圏~茨城県広域計画図
平成17年8月に開通した秋葉原とつくばを快速45分で結ぶ第三セクター鉄道「つくばエクスプレス」(TX)が好調だ。昨年1年間で乗客は1400万人増え、1日平均乗客は開通時の1・75倍。その要因はTX開通に合わせた区画整理事業が進み始め、人口や店舗の集積が始まったことが大きい。TX開通でまちはどう変化したのか。副都心の新たなまち並み形成が進むつくば市、住みよさランク№1に輝いた守谷市をルポした
まず、下の画像を見ていただきたい。首都圏.茨城県の広域計画図だ。開通3年経ったTXは東京都心に直結する。首都圏50圏域の環状線「圏央道」はつくばエリアが来年度後半(全線開通24年度)に開通する。茨城県は圏央道IC沿線に企業集積をめざす。例えばつくば市は「先端技術・バイオ関連企業の誘致を進めたい」と、TXとは別に地域発展につなげたい意向をもつ。

TXは下表のように年毎に乗客数を伸ばし19年度は前年より1416万人増。TXを運営する首都圏新都市鉄道(株)では「全国の各鉄道が1%増やすのに四苦八苦しているなかで1年間に1400万人以上増えたことは特異なこと」(原寛広報課長)と喜ぶ。
同社は、その最大要因として沿線開発による住宅・マンション居住が進み始め、通勤・通学の定期利用客の利用が増えたことをあげる。
通勤・通学定期客は今年5月現在、1日の乗客26万人のうち17万人。3人に2人(65%)を占める。全国平均の60%よりやや多い。しかし、同社は「首都圏通勤路線として位置づけられたTXはまだ定期客の比率が低い。定期客はさらに増えると思う。2年後には1日平均27万人の乗客を目標にしている」という。その背景は「鉄道と一体で進めた沿線の土地区画整理事業が道半ば。居住人口は計画人口の20%程度。これからの整備・分譲で沿線にはまだ人口集積が進む」(原正明経営企画部推進役)ことにある。
TX開通にあわせて駅周辺にはUR都市再生機構や沿線各県・市が事業主体となって区画整理事業を行い、その数は沿線20地区、計画人口は25万人に及ぶ。これに対して現在の居住人口は20%でおよそ5万人。今後まだ20万人が区画整理地内に住む計算だ。
つくば市 茨城県でダントツ1位の増加
茨城県全体ではTX開通後3年間で3万人の人口が減っている。そのなかで、人口増を続けているのがつくば市・守谷市。別表のように人口増ベスト5のなかでもつくば市がダントツに増やしている。

つくば市の人口は現在約21万人。TX開通前は約20万人で、開通後3年で1万人増加している。年平均3300人の増加となる。
その理由について、つくば市産業振興課の今野重彰氏は「東京までのアクセスが悪く陸の孤島と呼ばれた時代から東京まで1時間の場所になったことが大きい」と、駅から45分で都心までいけるTX効果が高かったことを指摘する。
つくば市にはTX沿線5地区で1378haの区画整理事業が進められ、計画人口は8万人。本紙集計では整備済み面積約270ha(整備率20%)。居住人口は約3000人(計画比4%)。単純に計算すると、市の3年間における人口増の1/3を占めることになる。
この間の新設住宅着工戸数をみると、平成16年の2002戸に比べ平成19年には3954戸。2倍に増加している。とくに分譲住宅戸数は平成16年の257戸から19年には1615戸と5倍にのぼる。TX沿線の分譲が開通後、年を追うごとに盛んになってきたことを物語っている。
田園にできた副都心
開通3年1600人が居住
その沿線開発・分譲住宅で今、副都心機能が進み、新たな街並みが形成されつつあるのが研究学園駅周辺。「いまもっともホットなエリア」として脚光を浴びている。
同駅はつくば駅ひとつ手前の駅だ。TX開通前は車の走行テストコースがあるだけの田園・林地で無人に近かった。新駅といっしょに区画整理事業を進めたことで、駅周辺にはマンション、住宅団地がどんどんでき、TX開通後3年間で1606人が居住。2年後にはつくば新庁舎、今秋には北関東最大のSC(ショッピングセンター)がオープンする。 区画整理事業はまだ整備途中で、これから約300haを整備し2万人以上の将来人口を計画する。

区画整理事業内の用地は主にURが住宅用地、県が事業用地を分譲する。上図にみる一住(一般住宅地区・緑色部分)・沿住(沿道住宅地区・黄色部分)はURが住宅地向けに分譲、誘致A・B街区(事業所誘致地区・紫色部分)は県が事業所向けに分譲する。
(※地図上の建築物・土地の情報は紙面に細かく載せています)
居住者は研究者・大手勤務の30~40代
URの分譲用地は全体で約89ha。このうち分譲済みが駅東側・北側の住宅地27ha(30%)。ここには大手ハウスメーカーが共同で戸建住宅団地を形成したパセオコモンズはじめ7団地455区画が住宅団地として開発され、各社は建売・建築条件付分譲地として現在も盛んに分譲している。UR自身も現在、23区画を一般向けに宅地分譲している。
分譲各社に取材すると、新居住者はつくば市・茨城県内から移住してきた人が6割程度を占め、首都圏通勤者は3~4割。客層は大学・研究機関・大手企業勤務の30~40代。30代の団塊ジュニア層が一番多い。世帯年収は600~800万円の層が多い。
各社とも(1)ゆったりした敷地(2)広い居住空間(3)景観に配慮したまち並みを特徴として打ち出している。分譲価格はその分、高くなり、土地と建物あわせて平均5000万円を超す価格になる。東京都内より安いものの、首都圏と同等の価格になっている。
URが抱えるまだ分譲相手の決まっていない住宅用地は62ha。計画の7割にあたる面積をこれから整備・分譲する。URは「これまで手をつけなかった駅西側の一般住宅地・沿道住宅地を整備・分譲していきたい」と話す。
TX沿線は開通から2年間はブームともいえる建築ラッシュだったが、昨年秋から今年にかけては動きが鈍い。
(青柳敏夫・酒井真一)
(つづく)
