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ベトナム報告記 第1回ホーチミン

ホーチミン中心部でマンションをレストランに改装する現場。店舗オーナーはシンガポール人、設計・施工は染谷氏が担当。ホーチミンは外国投資の98%が不動産・サービス投資という。

 新建新聞社は6月24~28日、ベトナム視察ツアーを行い、ホーチミン・ハノイの不動産・消費市場と投資環境・研修生受け入れ・建材市場などをテーマに現地の日本経済人・設計士・人材育成専門家・ベトナム現地企業と交流、また建築現場やニュータウンなどを視察した。参加者は15人。現地報告1回はベトナム最大都市・ホーチミンの不動産・建築・消費マーケットの変化と今後についてレポートする。

 

 

第2次外国投資ブームで盛んな不動産・建築投資

平均30歳 40歳以下80% 「安くて優秀」な労働力

 

 ベトナムは人口8億5200万人。平均年齢30・6歳で、40歳以下が80%以上を占める若い国だ。識字率は96%と東南アジアトップクラス。大半が日本と同じ大乗仏教で、気質は勤勉で忍耐強い。

 

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 このため、12年ほど前の94~96年第1次外国投資ブームから今日まで「安くて優秀な労働力」を求めて日本をはじめ海外の製造業がベトナムに進出、工場をつくってきた。

 

 ベトナムに進出している日本企業は現在1500社。ホーチミンの日本進出企業の集まりである「ホーチミン商工会」に加盟する企業は413社。製造業が206社(50%)と圧倒的に多い。続いてサービス業、貿易業、IT関連業、運輸業、建設業が10%前後。

 

 同じ東南アジアでもタイにはすでに7000~8000社が進出しており、ジェトロホーチミン事務所の海外投資アドバイザー・中西宏太氏は「バンコクとホーチミンを比べると、数ではまだ10倍以上の開きがある。しかし、ホーチミンの加盟企業は急増中でとくに第3次産業分野の進出がめだつ」と指摘する。

 

 

急激なインフレ 賃金の上昇も続く


 ベトナムの近年の経済成長率は7~8%。昨年は8.5%だった。05年から始まった第2次外国投資ブームもあいまって急激なインフレに見舞われ、消費者物価上昇率は昨年の12%台から今年5~6月には25~26%台に急騰した。ベトナム政府はこのため、年度当初の成長重視からインフレ抑制重視に切り替えている。

 

 ワーカー(労働者)の賃金も上昇。ジェトロがまとめた月額賃金はホーチミン142ドル(約1.5万円)、ハノイ79ドル(約8500円)、ダナン66ドル(約7000円)。

 

 別表2(表・グラフ出典/ジェトロホーチミン事務所・中西氏)のように東南アジア各国と比べてまだ低い水準だが、「日系企業の賃金上昇率は15~20%。ホーチミンやハノイは年間所得が2000ドル(約22万円)以上となってきた」と中西氏。ベトナムは日本と異なり大家族。夫・妻など働き手3人の世帯も少なくない。単純に計算すると働き手3人で世帯年収は6000ドル(66万円)。そうなると購買力がついてバイクや家電製品を買えるような消費市場に成長している。

 

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不動産・建築ブーム 五輪前の日本に似る

 

 05年から始まったベトナムの第2次外国投資ブーム。外国投資は昨年の投資認可額が約200億ドル(2.1兆円)で過去最高。今年は上半期だけで350億ドル(約3.7兆円)。年間600億ドル(約6.4兆円)以上は確実で昨年の3倍になる。

 

 ジェトロの中西氏は「昨年のホーチミン市の外国投資は98%が不動産もしくはコンサル・サービス関係。製造業の影は薄い」と指摘する。

 

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 ホーチミンの街を歩くとあちこちで建築現場に出あう。郊外にいくと大規模なニュータウンが建設されている。

 

 ベトナム在住12年の設計士、染谷幸彦氏(МIA代表)は「住宅・マンション・オフィスビル・ホテル・商業施設などあらゆる分野で建築ブームが起こっている。まるで東京オリンピック(昭和39年)前のごちゃごちゃとした日本に建築ブームに似ている。この建築ブームはこれから10年以上は続くのではないか」と話す。

 

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課題は家賃・賃金の高騰
韓国・台湾が進出 ロッテマートが15店

 

 その不動産投資を盛んに行なっているのが韓国・シンガポール・華僑・台湾企業。ジェトロの中西氏は「いまホーチミン市内に建てているビルは大半が韓国資本。建設会社も韓国・中国。ショッピングモールも韓国のロッテマートが15店舗くらいつくる計画がある」という。日本企業はほとんど不動産投資をしていない。

 

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07年にWTO加盟 内需型にチャンス


 ベトナムは07年1月、WTО(世界貿易機関)に加盟。内外格差を解消し、外国企業に対して国内企業と投資条件を同じにする投資制度の自由化を進め、サービス分野の開放が始まった。

 

 中西氏は「来年1月には販売会社・商社は100%外国の企業でも営業できるようになる。今後、ベトナム市場をにらんだ内販型の企業が進出すると思う」と話す。

 

 内販型の日本企業進出はホンダ・トヨタなど二輪車・自動車市場に向けた内需合弁型と味の素・久光・ヤクルト・資生堂など内需独資型に分かれる。早くからベトナムに進出している車メーカーに対して最近の注目は飲食や美容・健康市場をにらんだ独資型の日本企業進出。

 

 中西氏は「新興市場の07年小売魅力度調査(アメリカのコンサルタント調査)でベトナムはインド、ロシア、中国を抜いてNo・1となった。ベトナムにはまだセブンイレブンなどのコンビニエンスストアやマクドナルドなどのファーストフード店がない。デパートチェーン店も少ない。あと数年でこうした店舗がでてくると思う」と指摘する。

 

 問題は急激なインフレで家賃も高騰していること。「上海並みの家賃」ともいわれるなかで、日本企業は進出時期の見極めが必要となっている。

 (青柳敏夫・本村槇子)

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