ペンタッチ型セルフオーダーシステム オーダー数が5%上昇、ホスピタリティ向上も (2008/12/15)

ペンタッチ型セルフオーダー
オーダーファインダーミニ NEC
PDAで細かな操作可能

NECインフロンティアのオーダーファインダーミニは、現在使用中の紙のメニューに専用のシールを貼り、そこにペン先を当てると、ペンと接続しているPDAに読み取った注文が表示される。あとはPDAの画面上で注文数や修正を行い、確定すれば無線LAN経由でオーダー情報が厨房まで届く。
また、客は、今自分がどれくらい注文しているか、割り勘にするといくらになるかなどといった追加情報をいつでもPDA側で表示できる。
販売実績のデータを管理するPOSシステムの一部なので、店側ではどんな商品がどんな時間帯に注文されたかなどを閲覧・分析することも可能だ。
「オーダーファインダーミニ」機器単品は1台21万円。規模や業態にもよるが、25台一括導入なら400万円ほど(初期導入費・工事費別)で導入できる。既に同社のPOSを導入済みなら専用サーバも必要なく、すぐにでも使うことが可能。そうでない場合は基本となるPOS端末+オーダーエントリーシステムの導入(標準価格で約300万円程度・工事費別)が別途必要となる。
メニューに貼るシールは1メニューブックのセットで2000円程度。メニューを変える場合でも、PDA側のメニュー情報は店側で1分もあれば変更・登録できるので、追加の費用の心配はない。
PDAは、もともと製造工場などで使うものを使用しているため頑丈。1・5mの高さから落としても壊れない耐衝撃性に加え、防滴構造によって飲み物をこぼしても壊れない仕様になっている。
また、PDAの外観は自由な色でラッピングすることも可能。店の雰囲気を損なわないカラーリングができる。
充電後の連続使用時間は約5時間。使用後はメニューと一緒に下げて簡単に再充電ができる。
デリタッチ 寺岡精工
ペンのみで操作、音声で注文確認

寺岡精工のデリタッチは、PDA部分がなく、ペンのみなのが最大の特徴。読み取った情報は、PDAの画面ではなくペンに内蔵されたスピーカーから出る音声によって読み上げられる。
紙のメニューには料理やビールなどを注文するシールだけでなく、注文数の決定や変更、確定のための「オーダータッチシート」があり、そこをペンでタッチすることで注文や修正ができる。
音声は注文を読み上げるだけでなく操作方法の説明もするので、PDAなどの画面による情報がなくても操作に困ることはない。むしろ、ペンでメニューをタッチするだけなので操作は非常に直感的だ。ただし客のほうで今どれだけ注文しているか確認したり、一度注文し終わったものについて内容を変更したりといった細かい操作はできない。
デリタッチは標準で30本セット。同社によれば「POS端末も含めて250万円程度で導入が可能」だという。これに、売上管理や勤怠管理をする場合はシステム料が月額1万5000円程度必要となる。30本はあくまで標準のセット数なので、10本や15本といった数でも購入できる。
また、「リース代なら30本セットで月4~5万円。もしホールにフルタイムでアルバイトを置けば10万円以上掛かる」という。事実、導入している関西の居酒屋チェーン「町屋酒場りとも」の川上和彦社長は「デリタッチの導入はホールスタッフ2人分の効果がある」と話す。
メニュー変更は基本料金1万円。音声入れはメニュー1品につき400円だが、店舗側で音声を入れることもできる。
充電後の連続使用時間は約4時間。30本を一気に再充電できるクレードル(充電器)が付属する。
PDAがないため細かい操作ができないが、その分だけコストを低く抑えられ、操作が簡単なのが魅力だ。
人材不足解消だけでなく客単価向上とコストダウン
オーダー数が5%上昇、ホスピタリティ向上も
この2つのペンタッチ型のセルフオーダーシステムは、居酒屋と焼き肉店を中心に広がりを見せている。
オーダーファインダーミニは居酒屋チェーンなどを展開するニユートーキヨーや手羽先唐揚専門店の「鳥良」を運営するサムカワフードプランニングなどに導入されている。
ペンタッチ型・タッチパネル型合わせて、NECインフロンティアのセルフオーダーシステムは全国で約3000台出荷されており、問い合わせも急増。今後も増加の流れが続くと見ている。
デリタッチは居酒屋チェーン「さくら水産」や「とりかわ権兵衛」「町屋酒場りとも」、韓国料理の「ブルダック」など既に40~50店舗で使われている。今年8月にパシフィコ横浜で開催された「居酒屋産業展2008」でも好評で、当日のうちに契約になったところもある。また、最近は週に数社から問い合わせがあるという。
NECインフロンティアの流通営業事業部・岡田真利枝主任によれば、このように設置が進みだしたのは、「今年の春ごろから」。その理由を岡田氏は「セルフオーダーという形態が最近は一般的になり、認知が広まった。そこでタッチパネル型よりも導入が楽なペンタッチ型に注目が集まり出した」と分析する。
実は、同社が販売を開始した2007年当初は、「外食産業の人手不足を解消する」という側面で商品を打ち出しており、そのためにまずは人手不足が深刻な東京周辺をターゲットとしていた。しかしあまり成果は上がらなかった。
それが今では全国からの問い合わせが急増。内容は、人手不足解消もあるが、それ以上にセルフオーダーによる「注文のチャンスロスの回避」や「追加注文による客単価の上昇」といった「ポジティブ」なメリットを求めたものだという。
つまり「店員が注文を取りに来ないために追加オーダーをしたいの止めてしまうというチャンスロスをセルフオーダーでなくし、追加注文を確実に得ることで売上をアップできる」(同氏)というメリットだ。
しかもペンタッチ型なら導入が簡単で、低いコストでそれが実現できる。
実際にオーダーファインダーミニを導入したサムカワフードプランニングの「鳥良」では、店員によるオーダーテイクが60%セルフオーダーに代わったのと同時に、オーダー数が以前より5%向上し、未導入店舗と比べ売上が伸びているという実例が出ている。
「ポジティブ」面を強調するのはデリタッチの寺岡精工も同じだ。同社ホスピタリティソリューション事業部・鹿野浩二次長は「オーナーの考え方にもよるが、セルフオーダーシステムはホスピタリティ(もてなし)の向上につながる」と話す。
例えば、ホールの店員がオーダーに仕事を取られなくてよい分、少ないスタッフでも客とコミュニケーションの時間ができ、「おいしかったですか?」と聞くなどといった、注文以外のサービスに余裕が持てるというわけだ。
また、世界中を覆う深刻な不景気のため、ホールに掛かるコストの見直しが始まったことも大きい。
「オーダーテイクはホールスタッフの仕事の3割を占めている。ここを自動化することでコストダウンができる」と鹿野氏は言う。「同時に、浮いた仕事の分をサービスの質の向上にあてることができる。さらに客単価をアップさせる相乗効果もある」(同氏)。
マイナスイメージが少ない
ワイワイガヤガヤと面白さ
また、セルフオーダーによる自動化・機械化は、「接客サービス」とは正反対の印象があるが、ペンタッチ型なら今までどおりの紙のメニューからの注文なので、そういったマイナスのイメージが少ないという点も、設置が広がっている理由だろう。
これについて、NECインフロンティアの岡田氏は「紙メニューの一覧性を残したいという飲食店様からの強い要望がペンタッチ型製作のきっかけとなった。ペンタッチは皆で同じメニューを開いてワイワイガヤガヤと注文でき、操作も面白く、話題の一つになる」と話す。
客席・個室・追加注文の多い店で有効
ただし、どんな店でも客単価やサービスの向上に繋がるわけではない。セルフオーダーシステムのメリットが生きるのは、今のところ(1)追加オーダーが頻繁にある店、(2)客が店員を呼びにくい客席の多い店か、個室がメインの店―に限定されている。
既に導入している店舗が居酒屋と焼き肉店、その他では回転寿司やカラオケボックスに偏っているのは、これら2つの条件に最も合った店舗形態だからだ。
また、追加注文が多すぎると、「注文・調理・配膳」のバランスが崩れ、客にとっては「注文したのに料理がこない」という不満につながってしまう。店舗形態が合っていても、調理や配膳のスタッフ数に合わせた導入台数を考える必要がある。
POSと結びついたシステムのため、別のメーカーのPOSを使っている場合は、その端末ごと新たに導入する必要がある点も考慮したい。
(酒井真一)
