携帯電話を使って特定のユーザーに最適な情報を マクドナルド「かざすクーポン」 (2009/04/05)

マクドナルドの「かざすクーポン」
日本マクドナルドの携帯電話を利用した会員サービス「かざすクーポン」が好調だ。
「かざすクーポン」は、携帯電話で支払いを行う「おサイフケータイ」の機能を活用したマクドナルド独自のクーポンを使ったサービス。
ユーザーは携帯電話のオンライン機能を使って購入したい商品とクーポンの使用枚数をあらかじめ決めておけば、レジ前のリーダー(専用読み取り端末)に携帯電話をかざすだけで注文できる。
決済は現金のほか、携帯電話を使った電子マネーの「iD」か「Edy」でも支払うことが可能だ。
同社は2008年の5月から九州の一部店舗で「かざすクーポン」の導入を開始。2カ月後の7月には東京23区でも導入し、今年1月には近畿地方へと広げた。同社ではユーザーの好評を受けて、2009年末までに全国への導入を目指すという。
特徴はきめ細かなマーケティング
ユーザーに合ったプロモーション
「かざすクーポン」サービス最大の特徴は、きめ細かなマーケティングにより、ユーザーに合ったプロモーションができる点にある。
ユーザーがクーポンを利用するには、最初に年齢や性別を入れて会員登録する必要があるため、店舗側ではユーザーの属性情報を取得できる。さらに利用するたびに「どんなメニューが好きか」「どんな時間帯に食べに来るのか」といったデータを蓄積することもできるため、ユーザーのプロファイル・購入履歴を分析し、最適なクーポンを配信するといった販促が可能となる。
日本マクドナルド・コミュニケーション部の萩原和之氏は「携帯電話なら、ユーザーの年齢・性別・嗜好などに応じた柔軟なプロモーションと、多様なニーズに合わせた情報発信ができる」と話す。
例えば、ビジネスマン向け、主婦向け、学生向けにオススメクーポンを配信したり、天候に合わせてクーポンを配信するといったことが可能だ。
従来のテレビや新聞を使ったプロモーションでは、不特定多数を相手に新商品やキャンペーン情報を一方通行で告知することしかできなかった。
それに対し、携帯電話を使った「かざすクーポン」であれば、特定のユーザーのニーズに対応し、最適な商品や興味を引きやすい情報に絞って効果的に伝えることができる。
準備期間短くリアルタイムな販促
「かざすだけ」でユーザーにもメリット
また、萩原氏によれば「新聞折り込みなど紙を使ったクーポンに比べて、準備に必要な期間が短いというメリットもある」という。
そのため、紙媒体のクーポンでは不可能だった、ユーザーの反応を見て即座に違うクーポンを発行するといった、迅速かつ柔軟なプロモーションも可能になる。
もちろんユーザー側にもメリットがある。紙のクーポンを持ち歩く必要がなく、自分に必要なクーポンだけを選んで携帯電話で取得できるからだ。
携帯電話をかざすだけという簡単さも手伝い、「当初は若い年齢層が中心になるかと考えていたが、導入してみると高齢の方からも使ってもらっている」と萩原氏。利便性と簡単さにより、ユーザーの評判は上々だという。
背景に「新聞離れ」「テレビ離れ」
マスメディアに任せきりの時代は終わる
マクドナルドが、携帯電話によるマーケティングに注力する背景には、近年の消費者による「新聞離れ」「テレビ離れ」がある。
萩原氏は「テレビや新聞など、従来からあるマスメディアの力は依然として強いが、それとは別に、携帯電話やパソコンで情報収集をするユーザーが増え、メディアへの接し方やニーズが多様化している」と指摘する。
事実、マクドナルドが2003年から始めた携帯電話を使った会員サービス「トクするケータイサイト」の会員数は現在、1000万人を超える。それも、2006年までは会員数100万人程度だったものが、2007年に500万人、2008年には1000万人と、ここ数年で加速度的に増加しているのだ。
もちろん、携帯電話やパソコンの場合、テレビや新聞に比べて使いこなす知識が必要になるなどの問題もあり、従来のマスメディアから完全に移行するというのは難しい。
しかし、今までのように、プロモーションをテレビや新聞といったマスメディアに任せきりだった時代、大多数に情報を出せば良かった時代は終わろうとしている。
情報を必要とするユーザーだけに絞り、そのユーザーに最適なプロモーションへ―。マクドナルドの「かざすクーポン」は、新しい時代の新しいプロモーションの姿といえるだろう。
(酒井真一)
