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海外出店が好調なモスバーガー 「アジアのモス」目指し、台湾・シンガポール・香港・タイ・インドネシアで展開

海外出店が進むモスバーガー

 ㈱モスフードサービス(本社・東京)の海外出店が好調だ。同社が運営する「モスバーガー」は今年5月現在、台湾に150店舗、シンガポールに23店舗、香港に10店舗、タイに7店舗を展開。昨年末にはインドネシアへの出店も果たした。海外店舗の閉店予定はなく、売上も順調だという。

 モスバーガーの海外進出はどのような戦略で進められているのか。同社の海外進出のキーマンである、執行役員海外企画部長兼モスフード・シンガポール社長の山口伸二氏に聞いた。

 

 

 

―5カ国に出店し、いずれも出店数が増加するなど、好調です。その理由はどこにあるのでしょうか。

 

 まずは台湾とシンガポールで15年やってきたことが大きいですね。海外出店のノウハウが蓄積できましたし、近隣の国々での「モスバーガー」の認知度も広まりました。

 

 もう1つの理由は「味」です。当社のウリである「テリヤキバーガー」や「ライスバーガー」などは、アジアで親しみやすい味だと思います。

  

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モスフードサービス執行役員海外企画部長 兼 モスフード・シンガポール社長

山口伸二氏 

 

―台湾とシンガポールでやってきたことが大きいということですが、台湾出店は1991年2月、シンガポール出店は1993年5月と、かなり早い段階から進出されていました。海外1号店として、台湾を選んだ理由を教えてください。

  

 当時、台湾でモスバーガーをやりたいという会社があったのが大きかったですね。その地元企業と合弁で進出しました。

 

 台湾は、日本に近く、親日的で、日本のトレンドもすぐに広まる場所で、出店しやすい環境にあります。また、当時はアジアの中でも所得が高く、マーケットとして見ても可能性が高かった。

  

―続くシンガポール出店は、台湾のわずか2年後でした。

  

 この頃のモスバーガーは日本でも特に好調で、海外から「出店して欲しい」という声が強い時期でした。そうした中で、シンガポールはアジアの中で進んだ国ということもあって、「勝算あり」だと思ったのです。

  

 

「バブル」崩壊後の足下固めから数年、台湾・シンガポール好調

「これから伸ばしていくには海外」

  

―ただ、その次の海外進出国となる香港出店は2006年10月で、シンガポール出店から10年以上も経っています。これだけ間が空いた理由は何だったのでしょうか。

  

 この時期は日本でバブルが崩壊した後で、国内が厳しい時期でした。そのため、しばらく海外は見合わせ、足元を固めようということになったのです。

 

 しばらく新規国への出店を控えていましたが、台湾・シンガポールは続けていましたし、やはりこれから伸ばしていくには海外も重要だと考えたのです。

  

―国内が厳しかった時期も、海外店は順調だったということですね。

  

 はい。バブル崩壊から香港に進出する時まで、既に出店していた台湾とシンガポールは店舗数を伸ばし、売上も順調でした。

  

―再び海外出店を始めたタイミングで、香港を選んだ理由は何でしょう?

  

 台湾・シンガポール・香港・韓国は、昔からいわゆる「四つの竜」と呼ばれる経済発展が盛んな国々です。GDPも比較的近く、出店の計算が立ちやすい。このうち、台湾とシンガポールには既に出ていましたから、次は香港か韓国だと考えていました。そこで最終的に香港を選んだのです。

 

韓国については、まだ進出していませんが、今後の出店候補地です。

  

―香港に出てから、ほぼ半年後の2007年3月にはタイに出店されていますね。

  

 実は香港と同時並行で出店を進めていました。

 

 先ほど申し上げたように、これから伸ばしていくには海外だということで、社長の櫻田の「アジアのモスを目指す」という号令のもと、海外拡大戦略を取り始めた時期でした。そんな時にちょうど現地から引き合いがあったため、出店に踏み切りました。

 

 海外からの引き合いという点では台湾と同じです。台湾とタイは合弁で、シンガポールと香港は独資による直営です。

  

 

アジアの食生活にあった「しょうゆ味」と「お米」

  

―先ほど、「味」も好調の理由だというお答えがありました。具体的にはどういった点がアジアで受けているのでしょうか。

  

 「テリヤキバーガー」は「しょうゆ味」ですし、「ライスバーガー」は「お米」です。特にアジアでは米を食べる文化が多いため、ライスバーガーというメニューは食生活に合っています。それに、ユニークでもあり、話題になりやすい。

  

―メニューに各国で違いはありますか?

  

 基本のメニューは変わりません。

 

 ただ、現地に合った独自メニューを出しています。例えば台湾なら「豚しょうが焼きライスバーガー」、シンガポールなら「うなぎライスバーガー」といった、日本にはないご当地バーガーも人気です。

  

 

客層の中心は15~40歳の女性

  

―価格に違いはありますか?

 

 価格は各国の物価指数との兼ね合いになります。ざっくりと言ってしまえば、有名ハンバーガーチェーンの1~2割高いくらいでしょうか。およそ、台湾とシンガポール、香港では日本の価格の7~8掛け、タイとインドネシアでは6掛けくらいです。

  

―客層に違いはありますか?

  

 台湾とシンガポール、香港は、日本と同じで、一般の人向けです。若い女性が中心で、具体的な年齢層は15~40歳。

 

 タイとインドネシアでは、少し所得が上がって、ミドルアッパー層がメーンになります。

  

 

国内出店と海外出店の違い

海外では1等地に出る

  

―海外に出店するにあたって、国内と違う点は何でしょうか?

  

 一番の違いは立地です。モスバーガーは国内では1等地半から2等地に出店することが多いですが、海外では1等地に出すようにしています。

 

 好立地に出すことでブランドイメージを高め、その国でのフラグシップ(旗艦=同類のものの中で最も優れたもの)とする必要があります。

  

―店舗の運営面で違いはありますか?

  

 運営では大きな違いはありません。若干価格を下げていますし、独自メニューも出していますが、基本的には「日本のモスの再現」を目指しています。

 

 そのため、マニュアルも日本と同じ物を使っています。

  

 

海外300店舗、売上180億円

新規国にも積極的に

  

―今後の出店について教えてください。まず、昨年12月にはインドネシアに進出されました。インドネシアは大戸屋が出店するなど、最近注目の場所です。御社はインドネシアをどう捉え、出店されたのでしょうか。

  

 インドネシアはBRICs(ブリックス=ブラジル、ロシア、インド、中国)の次に来る場所として注目していた場所です。人口が多く、経済が安定成長している点で優れています。

 

 また、インドネシアの首都ジャカルタには1000万人以上が住んでいますが、このうち華人が200~300万人いて、比較的裕福なので、出店しやすいという理由もありました。

  

―華人が多いということは、台湾や香港のノウハウも生かせますね。

  

 もちろん、華人だけではなく、インドネシアの人もここ数年で所得が上がっていますから、現地の人の集客もできています。客層としてはオフィスレディが多いですね。

  

―インドネシアはイスラム教徒が非常に多い国です。

  

 豚肉が使えないため、牛100%のパティ(ハンバーガーにはさむ肉)を使うなど、工夫をしています。

 

 イスラムの国という難しさはありますが、ここで成功すれば、この後でイスラム諸国にも出られるという試金石にもなります。

  

―他のイスラムの国への足がかりになるということですね。出店して、実際の売上はどうですか?

  

 おかげさまで好調で、5月には第2号店を出すことができました。

  

―新しい国への出店は予定されていますか?台湾・香港への出店は、今後の中国本土への展開を想定したものと感じますし、シンガポール・タイは、アセアン諸国への足がかりとなる国です。

  

 そうですね、確かに中国本土への出店や、韓国、マレーシアといった新しい国への出店を考えています。しかし、出店時期やエリア、店舗数などは、現時点では具体的には決定していません。

  

―既に出店している、台湾・シンガポール・香港・タイについてはどうでしょう。既に飽和状態ということはありますか?

  

 いえ、まだまだ出店余地はあると考えています。

  

―最後に、今後の海外展開における目標を教えてください。

  

 中期計画として、2011年期末までに海外300店舗、売上180億円が目標です。

 

 重点的にどこに出すかは申し上げられませんが、既存国・新規国合わせて積極的な展開を考えています。

 

(出店国ごとのデータなどは紙面に掲載)

(酒井真一)

  

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